乙女の映写室

好きな映画、特にキレイ・かわいい映画をご紹介します★

ヴァージンスーサイズ

監督:ソフィア・コッポラ
出演:キルスティン・ダンスト


【あらすじ】
1970年代のミシガン州が舞台。
リズボン家の美人姉妹は13~17歳の年子。
セシリア、ラックス、ボニー、メアリー、テレーズ。

厳しすぎる母によってがんじがらめに育てられる。
数学教師であるリズボン氏は、少し厳しいと感じながらも妻の方針に合わせる。
男の子との交流は厳しく監視されて自由にはできない。
そんな姉妹たちの、美しい詩のように残酷なお話。

ヴァージンスーサイズ(乙女の自殺)。

 

 

 

最初の自殺者はセシリア。



手首を切って自殺未遂。
セシリアの退院祝いにパーティを開くも、セシリアは憂鬱。
飛び降りて自殺。


スパイダーマンのヒロインや、マリー・アントワネットでおなじみの
キルスティン・ダンストちゃんが14歳のラックスを演じています。

透明感のある無機質な美しさが、作品全体を幻想的にしています。


そんなラックスに夢中になる学園一の人気者のトリップ。
ほかの女の子はすぐ彼になびくのに、ラックスは彼に冷たいので戸惑う。

彼はダンスパーティにラックスを誘いたいと、リズボン氏に相談する。
リズボン氏は妻と相談して、「リズボン氏同伴」「グループでの参加」を条件に参加の権利を勝ち取る。




家に招かれたトリップ。
お母さんが娘たちをガッチリガード。

 


パーティに参加するためのドレスはリズボン夫人のお手製。
まるで布袋のように少女たちの魅力をを包み隠すデザイン。
それでも彼女たちは美しかった。

 

パーティではラックスとトリップがベストカップルに選ばれる。
表彰のあと2人は外に出て、校庭で夜を明かしてしまう。

それまでもご近所さんが眉をひそめるほどの厳しさでしたが、そのあとからが乙女たちの本当の地獄。
ラックスが門限を破ったことにより、母による監視が今まで以上に厳しくなる。
外出禁止は当たり前、学校にすら行かせてもらえない。
今なら虐待で訴えられるレベル。

 



かげろうのように儚く美しい少女たち。
残酷なのに悲壮感がないのはやはり無機質な雰囲気のおかげだと思います。

 



少女たちと少年たちがレコードを使って電話でやり取りするシーンが印象的で涙が出てきます。



抑圧・監視・禁止で自由がない美しい少女たち。

海での遭難者が喉の渇きに苦しむように、
強すぎる母の愛に埋もれて
愛情を得られない少女たちは窒息死してしまう。

美と若さは誰にでもあるわけではないのにとても残酷だ。

 

 

印象的なセリフはセシリアが自殺未遂した時にお医者さんとかわす会話。

「どうしてこんなこと(自殺)をしたんだね。人生の辛さも知らない年齢で・・・」
「先生は13歳の女の子じゃないもの」

13歳の女の子の辛さは大人の男性にはわからない。

 

私はこのガラス細工のような物語とは大人になる前に出会いました。
今もずっと心に残っていて、ふと繰り返し観たくなります。
思春期~二十歳までに見る映画は心の一部になるものが多いように思います。

現在、DVDの新規販売はないようです。
とても大好きな作品ですので再販してほしいです。
そして、たくさんの乙女たちに美しい世界を体験してもらいたいです。



◆予告編動画◆

 

 


 

原作本は今でも販売があります。
そのうち読んでみたいのですが、映画が好きすぎて
なかなか勇気が出ません・・・。

 

世界観にぴったりの音楽はエール。